●上腕部 上腕にも少しガタつきがありました。

肩ブロックと上腕を分離してみると、アームブロックのアライメントがわずかに狂っていました。これがガタつきの原因のようです。
下の写真で見ると、樹脂製のアームブロックと比較して、金属パーツ・BN1(4X25mmボーン)がほんの少しですが下に落ち込んでいます。

上腕と肩の接続は、肩関節側のボールコネクターをBN1にねじ込んで固定する構造なので、BN1とアームブロックがツライチになっていないと、肩と上腕の間にガタが出てしまいます。

ツライチに調整できました。これで上腕部のガタつきが解消されました。 ●手首 手首にはガタつきはなかったのですが、上腕同様にアームブロックのアライメントが少しだけ狂っていたので調整しておきます。手首は上腕の場合と逆で、アームブロックの位置に対して金属パーツ・BN1が飛び出しすぎています。

手首のアームブロックは、肘関節に連動するアクションシリンダーの取付ポイントでもあるので、ここのアライメントが狂っていると後々シリンダーがうまく取り付けられない可能性があります。 上腕の時と同様、アームブロックとBN1をツライチに調整します。

これで、両腕、両足の調整は完了です。


続いて、アクションシリンダーを見ていきます。 ●アクションシリンダー キネティックフレームには27本のアクションシリンダーが組み込まれていますが、そのうちの数本に不具合がみられました。

不具合のパターンは3つで、上の写真の左側から順番に、 (1)シャフトエンド外れ (2)シリンダーヘッド外れ (3)シリンダーボトム外れ という症状です。症状は3通りありますが、原因は実は1つで、シリンダーボトムのシャフト穴がキツイ(小さい)ために発生しています。この問題は樹脂製のシリンダーボトムを造形する際の精度に起因するもので、ロットによってもバラつきがあります。
今回のMさんのケースのようにかなりキツイ(穴径が小さい)ロットもあれば、滑らかに動く(穴径がちょうど良い)ロットもあるのですが、組立ての際にシリンダーボトムの穴がキツイなと感じた場合は、2mmのドリルで穴のサイズを整えることでシャフトの動きが滑らかになり、症状が改善されます。

以上で、キネティックフレームのレストアは終了です。この後、シェルを取付けます。

●シェルの取付け キネティックフレームにシェルを取付けるには、2mmのシェルマウントビスを使います。 キネティックフレーム側には、シェルマウントビスを受けるためのインサートナットが挿入されていますが、これがまっすぐに挿入されていないとシェルの穴とインサートナットの穴の位置が合わず、シェルの取付がうまくいかないことがあります。

インサートナットをまっすぐに挿入するのは、簡単そうでなかなか難しい作業なので、慣れないうちは少し斜めに挿入されてしまうこともあります。そういうときは、2.6mmのドリルでシェルの取付穴を拡張してあげます。
組立説明書の指示ではシェルの取付穴は2mmとなっていますが、穴を2.6mmに広げることで、インサートナットの位置ズレを吸収することができます。

すべてのシェルの取付が完了。Mさん、生まれ変わったヴォーグがまもなく帰宅しますのでお楽しみに!
