top of page

プラモ2.0について

目次

プラモ2.0とは?

スマートフォンやPCの普及に伴い、写真の編集や動画制作、ゲーム・アプリの製作といったデジタル系のクリエイティブな趣味が人気を集めています。一方でアナログ系の趣味であるプラモデルに関心のある若者は減少傾向にあります。

これは、現代のクリエイティブな若者にとって「アウトプットの共有」が創作のモチベーションの一部となっているためと考えられます。

 

従来のプラモデル(プラモ1.0)はアウトプットの共有が非常に難しいジャンルの1つです。完成したプラモデルは一点物なのでそれ自体を共有することはできません。シリコンゴムの型にレジンを流し込んで複製をつくる方法では手間がかかりすぎます。かといって撮影した写真をシェアしたのでは「立体物である」というプラモデル最大の魅力が削ぎ落とされてしまいます。

「プラモ2.0」はこの現状を変え、多くのクリエイティブな若者がプラモデルに関心を持つようになる鍵となるコンセプトです。プラモ2.0はデジタル技術を活用することで、クリエイターが創作したプラモデルをより多くの人に届けることを可能とし、模型業界全体の発展につながるエコシステムを生み出すことができます。

2.0とは

プラモ2.0の特長

プラモ2.0はWeb2.0にちなんで作られた造語です。​従来のWebではコンテンツの送り手(企業など)と受け手(ユーザー)が固定されていましたが、Web2.0はユーザーに「コンテンツの送り手になる」という新しい体験をもたらしました。プラモ2.0も同様の意味を含んでおり、以下の3つの要素で構成されます。​

 

1. ユーザーが送り手になる新しい体験

プラモ1.0におけるユーザー(模型ファン)は、メーカーが製造したプラモデルを購入して組み立てる受け手の存在でした。プラモ2.0ではユーザー自身がプラモデルをデザインし、それを他のユーザーに共有・販売することが可能となります。

2.モジュール型の製品設計

 プラモ2.0に基づく製品は、コアモジュールとカスタムモジュールに分離した構造を持ちます。

コアモジュールはロボットの内部フレームや、自動車のシャシーに相当する共通部分で、これらは従来通りメーカーが製造を担当します。ユーザーはロボットの外装部分や自動車のカウル部分といったカスタムモジュールの開発を担当します。

製品に必要な可動やギミックなどのメカニカルな要素はコアモジュールが引き受けるので、ユーザーはデザインに注力して独自のカスタムモジュールを開発することができます。

3.デジタルファブリケーションプラットフォーム

 ユーザーは自身がデザインしたカスタムモジュールを3Dモデルとしてアップロードし、他のユーザーに共有、販売することが可能となります。購入者はプラットフォーム上で欲しい製品を検索し、購入ボタンを押すことで、他のユーザーがデザインしたカスタムモジュールをプラモデルのパーツとして購入することができます。

プラモ2.0の造形はオンデマンドの3Dプリントで行われるため、製品が不良在庫となるリスクはありません。 また品切れもないので、しばしば話題になる買い占めや高額転売の問題も回避することができます。

2.0の特長

なぜプラモ2.0?

量販店の模型売り場に足を運んでみると、旬のアニメに登場するカッコいいロボットのプラモデルが売られています。確かにカッコいいです。

しかし旬のアニメに登場するロボット以外にも、クリエイターが仕事や趣味でデザインする同じくらいカッコいいロボットが世界中にたくさん存在しています。そしてそれらの多くはプラモデルになることなく、2次元の世界に眠っています―――。もったいない話です!

プラモ1.0の枠組みではそうしたニッチなロボットを製品化することはできませんでした。高価な金型を用いて射出成型するプラモ1.0の造形手法では、一定数以上の販売数が見込めないものを製造すると元が取れないためです。これはプラモ1.0の宿命で、構造的な問題でもあります。

一方、プラモ2.0は3Dプリントで造形します。樹脂を積層して造形するため、製造に時間がかかり単価は高くなりますが、事前に高価な金型を作る必要がないためニッチなロボットを造形するのに適しています。

​プラモ1.0 vs プラモ2.0比較

1.0vs2_edited.jpg
なぜ2.0
2.0の将来

プラモ2.0の将来

プラモ2.0はプラモ1.0にとって代わるものではなく共存するものです。

前述した、旬のアニメに登場する主役ロボのような「大多数の人が求める製品」は、これまでどおりプラモ1.0的な生産、販売スタイルが適しているといえます。

​一方で、その主役ロボに一瞬でやられるモブロボのような「ニッチな製品」の場合、プラモ2.0的な手法が適しているといえます。

両者はプラモデル市場の中で一定のシェアを維持しつつ、棲み分けられていくものと考えられます。

プラモ2.0が普及していくと、模型業界はメーカー、プラットフォーマー、デベロッパーという3つ業態に区分されると考えられます。

 ・メーカー:プラモ1.0製品の開発、販売

 ・プラットフォーマー:プラモ2.0のコアモジュール開発、販売及びプラットフォーム運営

 ・デベロッパー:プラモ2.0のカスタムモジュール開発・販売

個人のクリエイターは主にデベロッパーとしてプラモ2.0市場に参入することになります。

3つの業態すべてを1社で運営する、複合プラモデル企業の登場も予想されます。

個人デベロッパーであっても、優れたデザインの製品を提供して多くの模型ファンを指示を得ることで大きな収益を得る可能性がある点はプラモ2.0の魅力だといえます。

bottom of page